2008年07月08日

Box!/ボックス(百田尚樹)

boxはboxingのbox。
ということで、ボクシング小説です。

といっても舞台は高校で、生っちろくてひ弱な優等生と、劣等生だけどボクシングもケンカも無茶強いその友人、それにまだ若い女性英語教師が語り手を務めます。高校のボクシングクラブの話です。

かなり分厚いのですが思わず一気読みでした。
勢いのある楽しい小説でした。
(ただしアマチュアとはいえボクシング小説ですから殴り合いの描写は多いです)

今までアマチュアのボクシングを題材にした小説の最高傑作は「聖母少女」だと思っていましたけど、これは匹敵しそうです。
しかも聖母少女の頃はそういうジャンルの小説が少なかったので、出版社が弱小だったことやこの(失礼ながら)センスのないタイトルなどから多分売れないだろうと思っていて、どうやら実際その通りだったんですけど、今回はあさのあつこを皮切りにスポーツ小説、それも青春スポーツ小説?とでもいうようなジャンルが旬なので、このbox!も勢いに乗ればかなり売れるかも。
(売れてない本の中から輝く小説に出会った時というのはとても嬉しいですけど、作家もプロな以上は売れてくれないと次が出ませんよね。そういう意味では自分が面白いと思った小説は売れて欲しいと願います)

努力型で才能には(一見)恵まれていない少年が、天才型のライバルで友人でもある少年に憧れ、目指し、近づき、乗り越えようとする…という王道パターンは大好きです。
私は天才型の方が好きなので、最終的には天才タイプの登場人物に勝って欲しいですけど。
最近では「一瞬の風になれ」がこのタイプでした。これは高校の陸上部が舞台です。

このBox!はアマチュアボクシングが題材なので、プロとの違いが描かれているのも面白かったです。なかなかボクシング自体馴染みのない世界なわけですが、特にアマチュアとなると接点ないですからね。

最後のエピローグが蛇足だったかなと思うのと、ラスト近くで急に実在の人物を思わせるキャラクターが出てくるのがやや興ざめですが、勢いがあって面白い小説です。スカッとしたい人にお勧めです。

あとこの小説、出だしで若い女性教師が柄の悪い高校生に絡まれているところをボクシング部の少年が助けるシーンで始まります。
こういうパターンも好きなんだよな、なんか覚えがある…と古い懐かしい記憶の底をさらい思い出しました。「狼の紋章」(平井和正)のパターンだ!
「狼の紋章(エンブレム)」「狼の鎮魂歌(レクイエム)」の初期少年犬神明のシリーズ、高校生の東丈が活躍する「幻魔大戦」のシリーズ、大好きでした。夢中になりました。
ただこの人も「ガラスの仮面」並にパラレルワールドが多くて…。書きかけのくせに途中でほうりだして同じ名前の微妙に違う主人公だのちょっと違う世界設定だの少しずれた時間軸での未来の話だのを次々書いてはそれも未完になってしまうのが困り物でした。
そうそう、「ガラスの仮面」はよく分からないほどのパラレルワールドがあるんですよ。なので連載を読んでいた人とコミックで読んだ人が会話をしていて食い違った場合、どちらも記憶違いでない可能性があるという恐ろしい漫画です。
最近連載が再開されたらしいですけど、今度はどうなることやら、です。
posted by ひかり at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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