2008年09月15日

最近のお勧め本

読書の弊害を叫びつつも、やっぱり本はやめられません。
ということで最近読んだ本の中から何冊か紹介します。

その1
「空飛ぶタイヤ」(池井戸潤)

これは超お勧めです。実は読み終わった直後にブログに紹介書こうとしたのですが、面白すぎて紹介しきれずあきらめた覚えがあります。
運送会社の大型トラックのタイヤが外れて散歩中だった母子を直撃。自動車会社はリコール隠し。こうくれば、実際の事件を思い出す人も多いことでしょう。
実際の事件を元に、もちろんフィクションの体裁をとってはいますが、非常によく書かれています。
特に会社で利益と正しいことの間でジレンマに陥る会社員は、読んで損はないです。登場人物達も別段理想主義者でもなければいい人ばかりでもなく、それぞれに弱みも人間臭さも持っています。会社の犯罪を指摘しようとして左遷される社員もかわいそうですが、犯罪の口止めとして栄転をほのめかされ、その意味するところを知りながらそれをつかもうとしてしまう社員にも心が痛みます。
そして主人公の粘り強さ。あきらめないことは大事です。

いまひとつ何のジャンルか不明なタイトルですし、あえて分類するのなら経済小説とか企業小説とかになるのかもしれませんけど、そのメッセージは深いにしても単純に楽しめるエンタメ小説でもあります。

その2
「麦酒アンタッチャブル」(山之口洋)
警察庁のまだ20代の一応キャリア組の警部が研修のため財務省に出向して酒税課に配属される。そこで自家製ビールの取り締まりに執念を燃やす上司に振り回されてんやわんやの騒ぎになる、という話なのですが、お酒と酒税の薀蓄が楽しかったです。
のん兵衛なのって恥ずかしいことかと思っていましたけど、これだけ税金を払っているんだということで胸を張ってお酒が呑めそうです。
途中かなり無茶苦茶なことにもなりますけど、結末はさわやかで読後感はいいです。これを読むと自分でもビールを作ってみたくなります(実際にやると違法ですけど)。

その3
「バケツ」(北島行徳)
ボディビルで筋肉もりもりながら気が小さい主人公は、叔父の会社での人間関係に疲れて養護施設に就職。
ここでバケツという渾名の、知恵遅れ(知的障害者)ぎりぎりのラインにいる薄汚くて盗癖のある少年に出会う。実の母親と養父達に虐待され続け、施設でも施設長達からの体罰にさらされ、卒園すれば行き先もないこの少年を、結局主人公は特段の理由もなく、あえていうなら放っておけないという理由で引き取ってしまう。
つまり始まりは、主人公がこの行き場のない少年の面倒を見てやっている、という構図なのですが…。
二人が築いていく関係がいいです。連作短編の形式になっていて、最終話を読むとほろりとします。

その4
「年下の男の子」(五十嵐貴久)
これも以前紹介しようと思って紹介文を書きながらアップに至らなかった話ですが、あまりの面白さに一気読みしました。
同年代の独身の女性には特にお勧め!
37歳の会社員である主人公がマンションを買うシーンから話は始まります。独りで過ごすことを宣言するかのようなマンション購入には二の足を踏んでいたのをついに買ってしまったのです。
最後に誰かとつきあったのは2年前。会社にいいなあと漠然と思うぐらいの人はいても具体的な相手はなし。
そんな彼女に、14歳年下の契約社員の男の子がアプローチしてきます。

14年下ですよ。「年下の子もかわいくていいよね」とは言っても、14年下では問題外ですよね。そもそもお互い対象にもならないというか。少なくとも将来を考えようとはなかなかなりにくい。女の側も引け目のようなものも感じることでしょう。
が、この男の子、がんばります。

14歳年下の男の子に迫られたいかといえばさすがにそんなことはないのですけれど、それにしても共感できる心理描写が多くてずいぶん感情移入しました。
絶対女性の作家だよね!と思って読み終わって確かめてびっくり。男性名でした。私の読書傾向内でいえば、こんなに女性心理を書くのがうまい男性作家は北村薫以来ではないかと思います。

その5
「悪魔の花嫁」(あしべゆうほ)
これはその、お勧めかというとお勧めとはちょっと言えないのですが…。
昔17巻まで出て突然中断していたあの悪魔の花嫁の続きです。最終章と銘打たれていますが別段何も変わっていません。
が、変わっていないのは前提条件だけで。
美奈子の顔は激変わり。全然ヴィーナスの生まれ変わりというほど綺麗じゃなくなっているんですけど。これじゃヘンルーダです(あしべゆうほの「クリスタル・ドラゴン」に出てくる足手まといで暗い登場人物)。
話もいまひとつ盛り上がらないし…。

漫画で第二部とか続編とか長期中断後の再開とかで面白いものってほとんどないような気がします。
やっぱり勢いって大事なんでしょうか。
となると、今月から休載に入ってしまった「のだめカンタービレ」が心配です。

ちなみに今日出先で買ったのは「魔王」(伊坂幸太郎)。
面白いといいなー。
posted by ひかり at 22:02| Comment(11) | TrackBack(0) | 読書・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うぅぅぅ、、、こんなところで「悪魔の花嫁」話ができるなんて、、、でもなんとなく納得です、ひかりさん☆

期待はしていなかったんです。でも最終章というのも気になったし、ひかれるように買ってしまいました。そしてがっかりでした。1話完結の話の内容は変わり映えせず、昔連載していた頃なら盛り上がったかもしれませんが、2008年のこのご時世では、設定も色あせて見えます。

確かに作者の勢いってあると思います。
ところで「テレプシコーラ」の第2部も発売されましたね!
半年の禁欲生活(?)に終止符をうって読みました。確かに、ダ・ビンチで毎回あの回想シーンを読まされると気になるかもしれませんね。一気読みすると、あぁもうすぐぐぐっと展開があるのか!というえさにひきづられる気持ちで読みきりました。

無愛想なチャイニーズアメリカンが気になります、、、。
Posted by ひろ at 2008年09月16日 10:02
14歳か〜。私が20歳の時にその子は…。考えたくありません。
どうせなら、14歳以上年上のお金持ちの男性の方がいいです。

「デイモス」も語りたいし、「のだめ」の件も同じ女性として思うことはたくさんありますが、ここは一言。
「テレプシ」のチャイニーズアメリカン
は、やはり…なのでしょうか?
Posted by DORA at 2008年09月16日 18:47
>ひろさん

私も期待せずに買ったんです。大体こういうものに当時みたいな盛り上がりを期待するのが土台無理な話なわけですし。でもそう分かっていててもやはりがっかりでした。
でももしかするとこれは話に新鮮味がなくなったのではなく、私達が大人の世界で生きるようになって現実の悪意をもっと見るようになったからかもしれません?…なんてうがったこともいってみたりして。

テレプシは私第一部の最後で絶対にもう読まないと思ったのに、読み出したら結局読んでしまってます。これは別の意味で変わってなくて驚きました。第一部であれほどの衝撃的な終わり方だったのに、そのこと以外は六花のバレエ環境はあまり変わってないんですね。お母さんも教室続けてるし。
ちなみに今連載では「クララ代役のグラン・ジュテ以来のひきか?」という場面で終わっていて、来月号が楽しみになっています。

無愛想なチャイニーズアメリカンは…どう考えてもやっぱり彼女ですよね?
Posted by ひかり at 2008年09月16日 23:36
>DORAさん

ねー。あのチャイニーズアメリカンはやっぱり彼女ですよね。だから彼女の側からは六花のことが当然分かるので、ああいう対応にも納得がいきますし。

14年上か年下か。
まあ現実問題を考えれば年上の方がいいのでしょうけど、一緒に過ごせる時間の残りを考えれば年下も悪くないかもしれないですよ。さすがに14はちょっとアレですが(笑)。
Posted by ひかり at 2008年09月16日 23:37
>私達が大人の世界で生きるようになって現実の悪意をもっと見るようになったからかもしれません?…なんてうがったこともいってみたりして

あぁ〜、そうですね、そういうことで、作者の責任ではないのかも。

・・・・・それよりそれよりそれよりもっっっ!!

DORAさん、ひかりさんっっ!!

えぇぇぇぇぇ〜、そうなんですか!?そういうことですか!チャイニーズアメリカン!
・・・・あの無愛想、、、今気づいた、、、、読解力ゼロでした、すごい衝撃です、、、、。
あわわわわ・・・・・。(口角から泡吹いてます。)
Posted by ひろ at 2008年09月17日 10:18
ひろさん、あのう、本当ですかあ?あんなにいかにも思わせぶりなのに?
でもそれならそのまま本編で明かされた方が衝撃でしたよね。余計なこと言っちゃってすみません。
テレプシは悔しいけど面白いです。
Posted by ひかり at 2008年09月17日 23:06
ひろさんへ横レスです。

ええと…チャイニーズアメリカンの人は、まだそうと決まった訳でなく、限りなく黒に近いグレーというか、なんというか…。
私がそう思い込んでいるだけなのかもしれないのです。

私も来月のテレプシは楽しみです。

Posted by DORA at 2008年09月17日 23:38
ひかりさん

えぇえぇ、思わせぶりでしたね。なんでなの、この人〜、お礼くらい言えばいいのにこわーい、とすっごくひっかかっていました。
・・・・あ、これって、六花と同じ反応ぢゃないですか!私の読めないっぷりって、六花レベル、、、。(汗)

そうですね、面白さはあの生々しさなのだと思います。コミックには、本編のあとに首藤康之さんとのインタビューも入っていたのですが、首藤さんも「生々しい。実際に自分のレッスンで子供にそのまま言えることがある」といわれていました。

DORAさん

ありがとうございます。
でも言われてみたらすごくそんな気がしてきました。誰かの目に留まって移住して国籍とったとか、、、、。
続きが楽しみですね。

Posted by ひろ at 2008年09月18日 09:01
チャイニーズアメリカンの正体はいつ明らかになるんでしょう。
続きが楽しみな漫画があるということは嬉しいです。しかも来月はかなりヤマ。六花、がんばれ!
Posted by ひかり at 2008年09月19日 21:08
がんばれ六花!落ち着け六花!

チャイニーズアメリカンもですが、その後が触れられていないひとたちも気になります。千花に嫌がらせをしてたメガネの子、千花の最初の執刀医。あれって、医療ミスじゃないですか〜。将来有望な子の足を奪って知らん顔って、、、マルプラクティスで訴えてやりたいです。
Posted by ひろ at 2008年09月20日 09:44
でもあれを医療ミスというのは難しくないですか。日常生活は体育の授業も含めて送れたわけですし、バレエは有望だというだけで大成していたわけではないのですから。
結果的になんでもう少しあのときにきちんと…というだけではなかなか医療ミスとは認められないという事件は最近現実にもありませんでしたっけ。
Posted by ひかり at 2008年09月23日 17:28
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