2008年11月18日

北森鴻を読む

今、北森鴻が面白い。

この人のシリーズで女性の民俗学者を主人公にしたシリーズは数年前に読んだことがあります。
基本的にウンチクものは好きなので、このときも一気にシリーズを読んでしまいました。

つい最近、女性骨董品業者を主人公とする長編を読みまして。(「狐闇」「狐罠」)
いや〜面白かったです。ウンチクも好きですが頑張る女性主人公も好き(サラ・パレツキーのV.I.ウォーショースキーなんかがお気に入りです)。
このシリーズはこの両方を満足させてくれるものでした。
「騙す悪よりも騙される愚かさを憎む」という骨董品の世界(どこまでほんとかは知りません)。この世界での騙す騙されるが面白いです。ミステリーを意外性のある謎解きとしてとらえるとさほど高い点はつけられないですし、特に1作目の方は叙述トリックとしてもどうなの?という気はしますが。がんばる主人公とうんちくを楽しみたい人にはお勧めです。別出版社から出ている同シリーズの短編集も面白かったです。

でもって今一番はまっているのは香菜里屋シリーズ。連作短編集です。
三軒茶屋にある香菜里屋というビアバーが舞台で、そこのお客さんが持ち込む謎をマスターが解いていく、という一種のアームチェアディテクティブ。
これのねえ、お料理の描写が秀逸です!
ビアバーなのでお酒の描写には限りがあります。が、ここで供される食事のあまりの美味しそうさに、読んでいるだけでも涎もの。というかミステリーの謎なんてどうでもよくなります。こんなお料理をビールで楽しんだら、それだけで幸せになれそうです。このバーの雰囲気も素敵ですし。
美食を楽しみながらの謎ときというとアシモフの黒後家蜘蛛のシリーズが浮かびますが、雰囲気的にはもっと北村薫の円紫さんと私のシリーズバー(というかマスター)にモデルがあるなら行ってみたいと思って調べてみましたが、作者曰く「現実にはありえない、マイナス要素が何もないバーを作った」だそうで、残念ながら実在はしないようです。ま、そりゃこんなバーは実際にはないですわな。
だけどこの美味しそうなお料理は実際に作者が作ってみたことあるんじゃないかなあ。すごく手がかかっていますが、リアリティがあります。
というわけでとても気にいっていたのですが、なんと4冊目にしてシリーに近い感じです。謎解き自体はハッピーエンドとならないものも多いですけど、ふっと肩の力を抜ける小説です。疲れているときにお勧め。癒されます。ただしお腹が空いているときに読むと辛いかも。
このズ完結してしまいました。
が、こういう人気のあるシリーズは作者としても温存しておきたいでしょうし、わざわざ完結させた理由がいまひとつ。本の中で語られる理由は説得力が全然ありません。
なんかなーと思ったんですけど、もしやこのマスター、骨董商のシリーズの次の作品に出てくるのではないかと期待中です。この人の作品は自分の他のシリーズとのクロスオーバーがとても多いので、ありうるような気がしてます。

残念ながらこの人の小説も全てが私の好みに合うわけではなく、同じおいしい食べ物を扱っていても讃岐うどんを扱った連作短編集はいまひとつでしたが。

秋の夜長にどっしりとした長編を読むなら骨董業者冬狐堂シリーズを、師走のあわただしさの中で細切れの時間にふっと手を出すならビアバー香菜里屋のシリーズをお勧めします。ぜひお試しあれ。
posted by ひかり at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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