2008年12月30日

「ファンタジウム」

なんだかんだ忙しい日々を送っていても大量の本や漫画を読んでいます。とはいえ大半は一度読んだら終わり。読み返したくなる作品というのはそうそう多くありません。ましてや人に薦めたい作品となると割合的にはきわめて僅か。
その中で、今年のイチオシ漫画をご紹介しましょう。
本屋で適当に手に取った漫画が大当たりだととても嬉しいものですけれど、これはそういう幸運な出会いをした漫画です。

ファンタジウム(モーニングKC)、杉本亜未著。
現在3巻まで出ています。

祖父がマジシャンだった会社員が出会った少年は生前の祖父にマジックを教えられていたということで天才的なマジックの才能を見せます。
しかし中学生の彼は、重度のディスレクシア(この漫画では「難読症」とされています)で、知能的に問題がないにもかかわらず読み書きが出来ないのでした。
読み書きが出来ず、才能といっても世間的に認知度の低いマジック。学校には馴染めず父親の工場でもうまく作業が出来ません。

文字が読めない生活というのはどんなものなのでしょう。
本も読めないネット遊びも出来ない、なんていうのは思いつきますが、この漫画の少年にいたっては「立ち入り禁止」の文字も読めない(歩いていても危険)、交通機関の表示も分からない、自分の名前はかろうじて書けても住所も書けないというレベル。マジックの解説も「読んで」と頼むしかありません。

手品を題材に取り、それは作品にうまく生かされていますしマジックのシーンは感動的に鮮やかです。
ですが、マジックの話ではなく、少年と会社員の物語、でしょうか。
この大きな障害とコンプレックスを抱える少年が時折見せる自分が得られないものに対する切望には胸が痛くなります。
(が、決して障害をネタにお涙頂戴に仕立てたようなお話ではないのでご安心を)

ディスレクシア。
知能に問題がないにもかかわらず読み書きが出来ない(文字が認識できない)という障害はもう10年以上も前にNHKのラジオ英会話の題材で取り上げられたような気がします。それはアメリカでも読み書きが出来ない人の割合が非常に多い(移民などアメリカで教育を受けていない人という意味ではなく)という話の中で出てきたのだったと思いますが。bとdが区別できないなど、「なぜ?」と思うようなことが出来ないのだそうです。
で、英語圏では結構知られた障害のようで、割と見聞きすることが多かったのですが、日本語にもあったのですね。
日本でこれを取り上げたものを見たのは初めてです。

マジックにディスレクシアとはあまりにもマイナーな題材の組み合わせで、果たして連載が続くのか心配になりますが、とてもいい話です。ぜひ人気が出て欲しいと思います。
posted by ひかり at 21:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あけまして、おめでとうございます。
またまた、ご無沙汰であります。
今年もよろしくお願いいたします。
そういえば、お料理大作戦はいかがでしたか。

ファンタジウム、良いです。
良くんのマジックのシーンが素晴らしくて、グイグイと引き付けられます。
ひかりさんが書かれているとおり、難読症を扱っていても、お涙頂戴でないところも良いですよね。

ひかりさんがずっと前に紹介していた『BOX!!』良かったです。
読みながら、心の中でパンチを打ちました。
Posted by エル at 2009年01月01日 22:22
エルさん、こんにちは。

ファンタジウム、やっぱりご存知でしたか。エルさんとは他の本でも感性が合うようで嬉しいです。また本の交換しましょう。

漫画は完結するまでは真価は分からないと思っていますが、これは連載途中でも紹介したかったです。良くんにはじーんと来ますし、私、意外とあの「おじさん」も好きです。気持ちの上では分かるような気がします。

BOX!!もお読みになったんですね。あれも読み出したら止まらないでしょ?

エルさんの最近のお奨めも教えて下さいね。
Posted by ひかり at 2009年01月02日 18:05
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